女子ゴルフ界の「黄金世代」がいよいよ頭角を現し始めた。「宮里藍、横峯さくらレベルが10人はいる」と言われる高校生たちだ。彼女たちはなぜ強いのか。

 「これまでやってきた自分のゴルフを信じて臨みます」。23日、来季の米女子ツアー出場権を争う2次予選会(米フロリダ州)を19位で通過した畑岡奈紗(茨城・ルネサンス高3年)は11月末の最終予選会へ意気込んだ。2次を突破した84人中20位以内に入れば、来季は野村敏京、宮里藍らと米でプレーする。

 畑岡は10月の日本女子オープンを史上最年少の17歳で制した。翌週プロ転向を宣言し、女子では史上最年少ツアープロに。国際ジュニアゴルフ育成協会の井上透代表理事は「男子ゴルフなら松山英樹、野球に例えれば大谷翔平のレベル。ずば抜けている」と評する。

 同世代には実力者が目白押しだ。同学年では、2014年に15歳で日本女子ツアー史上最年少優勝をした勝みなみ(鹿児島高)、昨年アマ初の3試合連続トップ10入りした新垣比菜(沖縄・興南高)。二つ下の長野未祈(千葉・麗沢高)は日本女子オープンで10位だった。

 畑岡、勝、新垣に共通するのは、宮里藍というスターの存在。03年の宮城・東北高3年時にミヤギテレビ杯で優勝した宮里は、史上初の女子高生プロとしてデビューした。畑岡は小学生の時に宮里の試合を観戦し、握手をした思い出がある。

 ログイン前の続き「私も藍ちゃんになりたい」とクラブを握った選手は多い。日本ゴルフ協会のジュニア会員(小中高生)は1998年の4540人が、07年には1万1219人に。同年春に15歳の石川遼が男子ツアーで優勝すると流れは加速し、11年には89年の創設以来最多となる1万5019人となった。

 過去、韓国でも似た現象が起きた。98年に全米女子オープンを制した朴セリに影響された子どもたちは「セリ・キッズ」と呼ばれる。そこから、元米女子ツアー賞金女王の申ジエや朴仁妃、昨年の日本ツアー賞金女王イ・ボミらが出た。

 だが、セリ・キッズが一家の生活を背負ってエリート街道を歩んだのに対し、畑岡らの事情は少し違う。

 畑岡がプロ宣言した場で、父の仁一さん(51)は「私はゴルフをしないので、こんなことになるとは毛頭思わなかった」と苦笑した。仁一さんは陸上部、母の博美さん(46)はバレー部出身。ゴルフで期待をかけたことはなかった。

 「ゴルフ不況がジュニアの追い風になっている」と井上代表理事は指摘する。

 日本ゴルフ場経営者協会が発表する年間のべプレー者数は、92年度の1億233万人が、昨年度は8775万人に。ゴルフ場は02年度の2460カ所で頭打ちとなり、15年度は2317カ所になった。

 「将来のゴルフ人口拡大を目指し、業界がジュニアに目を向けるようになった」と井上代表理事。ジュニア向けの特別料金を設けるゴルフ場も多い。選手層の厚さに加え、ゴルフが手軽になったことも若手活躍の背景にある。

 もう一つ、特徴がある。日本女子オープンでのキャディーは、畑岡は母、長野は元サーファーの父だった。何を使ってどう攻めるか、決めるのは自分だ。中継で解説した塩谷育代プロは「プロでもキャディー任せの選手がいる中、自分で考えられる選手は伸びる」と期待している。(2016年10月28日 朝日新聞デジタル)

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